「われ弱ければ 」ブッククラブの恵み

本当の所を言うと、「われ弱ければ」に出会うまでは、矢嶋楫子さんのことを聞いたこともなく、100年前の日本の情勢についてなど一切考えず、更には、その時代が今の日本社会とどのように結びつくのか、興味を持とうともしませんでした。何を隠そう。おそらく、自分では、この本を手に取って読もうとは思わなかったでしょう。

しかし、半信半疑で聞き始めた、序文にあたる「はじめに」の章から、心が底から揺さぶられ、矢嶋楫子さんの発する言葉と行動に脳内がかき乱されました。「あなたがたは聖書を持っています。だから自分で自分を治めなさい。」熱い。このような言葉を日常的に発するような人は今まで出会ったことがない。ただただ、圧巻でした。もっとこの人の人生を知りたい。そのようなハングリー精神が掻き立てられた第一回目。そこから続く三浦綾子さんの文章は、あたかも矢嶋楫子さん本人が自伝を書いたかと思うほどに、時に愉快に、時に痛ましく、その心中を描写していきました。

この作品の奥深さを更に引き立てるのが、オーディオブックのナレーションです。声優の疋田由香里さんがとにかく、素晴らしい、の一言に尽きます。一人何役も声だけで表現し、映画を見ているかのような臨場感の中で、会話が進むのを聞くだけでも、このオーディオブックを耳にする価値が十分にあります。

矢嶋楫子さんが、あの序文で発した言葉が、どのような人生経験を経て形づくられたことなのか、彼女の人生を追っていくにつれてわかっていきますが、少なからず言えるのが、それは天性たる慈愛に溢れた性格からではなく、生まれながら授かった意思の強さと生まれた時代の卑劣さの中で形作られた正義感が、次第にキリストに捉えられ、キリストの似姿に変えられていく長い洗煉のプロセスの故であることが伺えます。世紀が変わる時代の中、日本という国で女性として生まれたこと。一つでも要素が変わってしまったら、歴史自体大きく変わっていたかもしれない。そう考える時に、私達を創られた主なる神は、一ミリたりとも、私達の人生に「偶然」を催すことはなく、当時は「害」と感じることをも、「益」としてくださるお方であることを噛みしめることになりました。

波乱万丈の人生と様々な分野における開拓者としてその名を残した矢嶋楫子さんの歩みを毎週ブッククラブのメンバーと息を呑んで耳を傾け、現代社会と重ねながら感想を話し合う中で更に内容を咀嚼できる贅沢な時間でした。時代を物語る口調や言い回しが多く、活字として一人で読破するには少々ハードルが高い内容ですが、ブッククラブは耳で聞きながら本を読むことができたので、じっくり一冊味わうことが可能でした。(横尾 恵美ダーン様)

※「われ弱ければ」はブッククラブで3冊目の本としてお聴きいただきました。

「みんなで本 JSU Book Club」は、オーディオブックを聴きながら本を読み、分かち合いをする新しい形の読書会です。耳と目の2つの感覚で本を味わうので集中力が高まり、内容をより深く理解できます。私たちは、「みんなで本 JSU Book Club」を通して、参加者のみなさんがお互いに励まされ・成長できるお手伝いができればと、願っています。そして今は、オンラインでの開催をおすすめし、ご支援しています。

あなたも、オフィスや学校、教会、
そしてカフェなどで、 「みんなで本 JSU Book Club」を始めてみませんか?

必ず利用規約・個人情報保護方針に同意のうえ、「お申し込み」ボタンをクリックして下さい。
入力されたデータはSSLにより保護されます。

利用規約 個人情報保護方針